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2022-10-29 (Sat) 17:55

【怖い話】[嵐の夜のひみつ] … 下山は無理なので粗末な山小屋に避難することにした

2chオカルト板
180 :なまえ_____かえす日 :03/06/01 14:27 ID:CRDv2ONI

「嵐の夜のひみつ」
・作者は日本人
・表紙は黒地にぽっかりとハダカ電球が浮かんでいる絵

透は山岳部所属。友人3人と山登りに来たが、仲間たちとはぐれてしまう。
最悪なことに天気は崩れ、やがて暴風雨となった。
透は奇跡的に仲間と再会するが、下山は無理なので、途中で見つけた粗末な山小屋に避難することにした。

山小屋は12畳くらいの広さだ。
真正面にトイレのドアがあり、入り口のドアの脇に大きなガラス窓がはまっている。
部屋の真ん中にぶら下がっている大きな裸電球のほか、部屋には何もない。
やがて夜になったが、嵐はますますひどくなっているようで、とても外には出られない。
どうやらここで一晩を過ごすしかないようだ。

透の服はびしょ濡れだった。
小屋はすきま風がひどく、ひゅうひゅうと冷たい風が流れてくる。
夜が完全にふけると恐ろしいほど気温が下がった。このまま寝たら風邪をひくだろう。肺炎を誘発したり、最悪死んでしまうかもしれない。
透はガタガタ震えながら、必死で眠るまいと努力する。

幸一がある提案をする。
部屋の四隅に一人ずつが寝る。一人が右隣りの隅へ歩いていき、そこに寝ている者を起こす。
起こされた者はまた右隣りの者を起こしにいく。

そうすると必ず誰かが目を覚ましていることになるのだ。
電気が消された。だがもともと透はひどく怖がりなので、疲れているのに眠れない。
余計なことを考えているうち誰かに身体を揺らされた。
左隣の弘明だろう。
透は大輔を起こしにいく。

それを二度ほど繰り返してから、透はある事実に気づいて絶叫する。
このローテーションは5人いないと無理だ。

部屋の四隅に一人づついる。一人目が二人目の場所へ移動し、二人目が三人目の場所へ移動し、三人目が四人目の場所へ移動する。四人目が一人目の場所へ行ったときには、一人目は二人目の場所へずれているから、そこは空白でなければならない筈だ。
透は幽霊がいる!幽霊がいる!と言って大騒ぎを始める。
ところが仲間は落ち着いたものだった。幽霊なんかはいないと相手にしようとしない。
そのうちに寒さのせいだろう、「トイレに行きたい」と幸一が言うと、その言葉で尿意をもよおされたか、三人がドアをあけ、互いに譲り合いながら用を足す。

透はひとり離れて部屋の隅で考えを巡らせる。
自分を起こしたのは弘明だったのだろうか?あるいは、彼が起こしたのは本当に大輔か?肉の感触はあった。だが幽霊はいなくてはならない。そう考えるうち、透は、このうちの誰かが幽霊なのではないか・・・と思い始める。
実はもう死んでいて・・・。透は身を震わせる。

そういえば自分は仲間とはぐれていたのだ。ばらばらになった四人を探し出したのは大輔だ。
だがあの嵐の中、そんなことが起こりうるだろうか?四人が再び合流するなどという可能性は・・・。
三人ならまだしも。四人は電球をつけて、車座になって座る。黄色い明かりが四人の顔を照らし出す。
しばらくの沈黙を破って幸一が口を開く。「この中に・・・死んだ人間がいるな?」

弘明が大笑いを始める。馬鹿げた話だと一蹴して相手にしようとしない。
だが幸一は平然として、そう言うのはお前が死人だからだろう、と言う。
弘明が腹を立てる。温厚な大輔がまあまあと二人をなだめる。
嵐の中、自分が見つけたのは、間違いなく生きている三人だったと断言する。

透がはっと顔を上げる。三人を見つけたのは必ず大輔だった・・・あの状況で?
そんなことが普通の人間にできるだろうか。
可能だったのは、大輔がもう死んでいるからではないのか・・・?

そう考え出すと、誰もが怪しい。冷笑的な弘明は怪しい。変に落ち着いている幸一も怪しい。大輔も怪しい。
透は言う。何とか幽霊であることを――あるいは、ないことを――証明する手段はないものかと。
幽霊は手が冷たい筈だ、と大輔が言う。幸一は鼻で笑う。全員の手足が冷え切っているさ、と。お互いに触りあったがみな氷のように冷たい。顔色を見ようにも、黄色い光の下だし、だいいち光がもっと強くても、全員の顔色は決まって青白いだろう。

肉の感触は当てにならない。いま握った手は明らかに弾力があったし、それはさっきゆり起こしたとき、あるいはゆり起こされたときに明白な筈だった。それ以外に証明の方法は?大輔がぼそりと言う。
「そう言えば、死んだ人間は、鏡に写らないっていうよね?」

それを聞いて弘明がけたけた笑う。幸一が彼をにらみつける。

「たしか、トイレに小さな鏡があったな」と幸一。

「いいぜ俺は。写るかどうか確かめても」苛立った口調で弘明が言う。

「だいたい、お前らはみんな怪しいんだ。俺は、俺が生身の人間だってことを知ってる。俺は幽霊じゃない。確かなのはそれだけだ」

幸一が鼻で笑う。「どうだか」

二人がつかみあいの喧嘩を始める。仲介に入った透を、弘明が弾き飛ばす。

「大体な!お前が一番怪しいんだよ!」

透はぞっとする。
三人の視線が、いっせいに透の身に注がれる。

「そうだ」幸一が落ち着いた声で言う。
「一番怪しいのは透だ」「何で?」声が震える。

「何でそんなことを?」

「さっきみんながトイレに行った・・・遅れて一人で入ったのはお前だ」

「それが・・・?」唾を飲み込む。

「お前は誰とも一緒に入ろうとしなかった。何故だ・・・?トイレには鏡があるからだ。お前は、お前の姿が鏡に写らないことを、他の誰にも知られたくなかったんだ」

「そんな馬鹿な!」透は笑おうとしたが、うまくいかなかった。

「じゃあ何で、一緒に行かなかった?」

「・・・狭いし、考えごとを・・・」

「怖くなかったのか?俺だって怖かったのに」と弘明。

「そうだ・・・人一倍怖がりの君がね」と大輔。

三人の目が、透に注がれていた。
嘘だ、と透は思った。自分は生きてる・・・
それは自分が知っている。・・・
だが本当か・・・?
本当に自分は生きているのだろうか・・・?

仲間とはぐれたときのことを考えた。
大輔が見つけてくれるまで自分は何をしていたのか?覚えがない。
自分は死ぬのだ、と絶望にかられなかったか?
その時、本当に死んでいたのではないか?自分では気づかないだけで・・・
崖から落ちるか、あるいは雷に打たれて、死んでいるのではないか?
この手の冷たさは、気温のせいか?ずっと肌寒いのは何故だ?
お前は自分が生きていると、本当に言い切れるのか・・・?

どーんと雷がなり、後ろの窓ガラスがびりびりと震えた。
三人の凍るような視線に耐えられず、透は振り返った。電球の明かりを反射して、窓ガラスは部屋全体を写し出していた。鏡のように。
そして透は絶叫した。三人の目線の意味に気づいたから。
凍るような視線・・・

ガラスに写っていたのは、透だけだった。

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