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2023-07-29 (Sat) 09:59

【enigma】[貯金箱] … 小学生の頃、カギッ子だった俺は近所のおばーちゃんの家に入り浸っていた

2chオカルト板
744 :本当にあった怖い名無し:2007/03/10(土) 14:13:42 ID:2o9Thpix0

小学生の頃、両親共働きでカギッ子だった俺は、学校から帰ると近所のおばーちゃんの家に入り浸っていた。
血縁者ではないが、一人暮らしのばーちゃんは、俺にとても良くしてくれたのを覚えている。

「ばーちゃんコレ見てや!新しいバイクやで」
当時仮面ライダーが大好きだった俺は、人形や本を持ち込んでは、かっこよさをバーちゃんに語っていた。

「ヨシ君は本当にバイクが好きなんやねぇ」

「俺もな、大きくなったら仮面ライダーみたいなバイク乗るんや」

「あら、素敵ねぇ。そしたらおばーちゃん後ろに乗せてね」

「ええけど、仮面ライダーのバイクはな、めちゃめちゃ高いんや。俺の父ちゃんも買えんって言っとったから、俺がバイク買ったときには、ばーちゃんもうおらんかもなー」

今思うと酷い事を言ったと思うが、バーちゃんは優しく俺にこんな提案をしてきた。

「じゃあヨシ君が早くにバイクを買えるように、貯金箱にお金を貯めて行きましょ。おばーちゃんも一緒に乗りたいから、貯めるの手伝ってあげる」

そう言うとバーちゃんは、古くさい干支の『丑』と書かれた、牛の貯金箱を取り出して来た。

それからおれとバーちゃんは、少しずつ小銭を貯める事になった。
ところが、それから暫くしておばーちゃんは、息子夫婦と一緒に暮らす事になり、俺の住む町からいなくなってしまったのだ。

ばーちゃんからもらった牛の貯金箱も、子供の俺はすぐに使ってしまい、
そしてばーちゃんの存在すらも、しだいに忘れて行ってしまった。
何年かして母伝いに、老人ホームで亡くなった事を聞いたときも、「ふーん」の一言だった。
時が経って俺が17のとき。
当時いろいろあって高校中退。
非行に走り悪い先輩達と連む様な、絵に描いた不良になっていた。

俺はひょんな事から、先輩のバイクを預かる事になった。
日々何かにむしゃくしゃしていた俺は、そのバイクを荒い運転で乗り回し転倒…
俺自身のケガは軽かったが、バイクはボコボコ。
地元でも有名な恐ろしい先輩だった為、俺は真っ青になり、真剣に地元からバックレようかと考えていた。

修理代を計算しても何十万もかかる。
俺は親の財布や弟のへそくりまで持ち出し金をかき集め、
明日は友人の家まで金を借りに行こう、と考えながら眠りについた夜。

夢にバーちゃんがでてきた。
「あれがあるがいね。あれ使いまっし」と俺に言うのだ。
俺はアレと言うのが『丑』の貯金箱だとすぐに解ったが、
「あれは昔全部使ったんだ」と言っても、バーちゃんはニコニコ笑っているだけ。
そんな夢を見た。

俺は明け方目を覚ますと、夢の内容が気になり貯金箱を探した。
何故か俺は、10年近く前の貯金箱の在りかを知っていた。

自分で片づけた記憶なんて無いのに、迷うことなく倉庫の棚の2段目のダンボールの奥深くから、貯金箱を探し出せたのだ。

取り出して見て驚いた…重いのだ。
お金を入れる口から見えるほど、ギッシリとお金がつまっていた。
たしかに俺は、昔この貯金箱を空にしたのに…
この貯金箱の事は、俺とバーちゃんしか知らないのに。
貯金箱の底を外して中を数えると、たった4万円分だった。
「へへ…たりねーじゃん…全然…」
夢に出てまで勧めたくせに全然足りなくて、そんなオチに笑いながらも泣いた。

すごく胸がいっぱいになり、その足で先輩に土下座しに行き、ボコボコにされ病院送り。
みんなにお金を返し、退院したら働いて修理費を返すことになった。

入院中、母にこの話をした。

「…でさ、4万しかねーの。全然足りなくてさぁ、マジうけた」

感動劇みたいに話すのが気恥ずかしかった俺。

「足りたじゃない…充分…足りたのよ」

母の言葉が、また胸にじわっと広がった。

不可解な体験、謎な話~enigma~ Part37

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