【ほん怖】[草の生えない長方形] … 空き地はブロック塀で周囲を囲われ、入り口には錆びた鎖が渡されていた
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439 :1/4:2006/08/09(水) 06:11:32 ID:RqNj6wN40
小学生だった頃の夏のある日。
その日は日曜日だったが、父親が仕事の用で出掛けるというのでヒマだった自分は付いて行く事にした。
向かった先は得意先のAさん宅。
車で40分程の道程だったが、見知らぬ土地の景色を見ていると退屈はしなかった。
「よぉ稲川さん、待っちょったよ」
同じ市内とはいえ山寄りに位置するAさん宅は、自分の住む田舎町に比べ平坦で建物も密集した、いかにも住宅地という場所にあった。
急ぎの納品が済めばすぐに帰れるはずだったのだが、父もAさんも馬鹿が付く程の釣り好き。
釣り談義に花が咲き、遂には居間に腰を据えてしまった。
何もする事が無く退屈になった自分は、外に出て周辺を探索することにした。
知らぬ土地で迷子になるのを避ける為、Aさん宅を中心にぐるぐると円を描く様に徐々に範囲を広げて行く。
同じ様な住宅が並ぶ通りを何本か越えた頃、いきなり視界が開けた。
一面を雑草に覆われた、けっこうな広さの空き地がそこにあった。
住宅地の裏手にある背の低い丘を半分程切り崩して整地したその空き地は、自分の腰までしかない低いブロック塀で周囲を囲われ、入り口には錆びた鎖が渡されていた。
その日は日曜日だったが、父親が仕事の用で出掛けるというのでヒマだった自分は付いて行く事にした。
向かった先は得意先のAさん宅。
車で40分程の道程だったが、見知らぬ土地の景色を見ていると退屈はしなかった。
「よぉ稲川さん、待っちょったよ」
同じ市内とはいえ山寄りに位置するAさん宅は、自分の住む田舎町に比べ平坦で建物も密集した、いかにも住宅地という場所にあった。
急ぎの納品が済めばすぐに帰れるはずだったのだが、父もAさんも馬鹿が付く程の釣り好き。
釣り談義に花が咲き、遂には居間に腰を据えてしまった。
何もする事が無く退屈になった自分は、外に出て周辺を探索することにした。
知らぬ土地で迷子になるのを避ける為、Aさん宅を中心にぐるぐると円を描く様に徐々に範囲を広げて行く。
同じ様な住宅が並ぶ通りを何本か越えた頃、いきなり視界が開けた。
一面を雑草に覆われた、けっこうな広さの空き地がそこにあった。
住宅地の裏手にある背の低い丘を半分程切り崩して整地したその空き地は、自分の腰までしかない低いブロック塀で周囲を囲われ、入り口には錆びた鎖が渡されていた。
格好の遊び場所を見つけた自分は、嬉々としてその鎖を乗り越え緑の海原に飛び込んで行った。
夏の盛りに伸び放題となった雑草は胸に届く程の高さに生い茂り、ガサガサとそれを掻き分けて進むと草の上に頭しか出ない状態だった。
ふと妙な場所を見つけた。
草の端が肌を引っ掻き、雑草のタネが衣服に取り付くのも構わず草を掻き分けそこへ急いだ。
「なんだこりゃ?」
その場所だけ雑草が全く生えていなかった。
タタミ一畳より少し大きいぐらいの長方形にくっきりと地面が露出している。
しゃがみ込んで地面に触れてみると、赤茶色の土はまるで素焼きレンガの様に固く締まっていた。
辺りを見回すと、少し離れた所にも草が四角く凹んだ場所がある。
その先もまた同じ間隔を空けて凹んでおり、草の生えない長方形が3つ仲良く並んだ格好になっていた。
「変なの」
自分はそのまま草の生えない土地にごろんと横になった。
四方を緑の壁に囲まれ、見上げると四角く切り取られた青空を雲がゆっくり横切って行く草の陰になった素焼きの床は冷たく、汗ばんだ体に心地良かった。
風がそよそよと葉を揺らし、草と土の匂いを運んで来た。
「うぁー気持ちいいや…」
ついウトウトしかけた時、遠くで草を掻き分ける音が聞こえ続いて父の呼ぶ声がした。
「おーぅい」
立ち上がり草の端から頭を出すと、こっちへ向かって来る父とAさんの姿が見えた。
「あ、居った!」2人は歩を速めザクザクと近づいて来る。
「坊ん、こげんトコで遊んだらいけん」
Aさんにそう言われ、父にゲンコツを貰ったが何故怒られたのか良くわからなかった。
再び草を掻き分け帰る途中、Aさんが父に向かって話すのを、背負われた父の肩越しに聞いた。
「稲川さん、どげん訳かこの辺で姿が見えんなった子供を捜すとな、大体ここで寝ちょる。三人並んで寝ちょるの見つけた時は流石に笑えんじゃった」
父が問う。
「ここは何な?」
Aさんが答える。
「ここは昔、焼き場じゃった場所。ありゃな、釜の跡よ。何年経っても草が生えん」
夏の盛りに伸び放題となった雑草は胸に届く程の高さに生い茂り、ガサガサとそれを掻き分けて進むと草の上に頭しか出ない状態だった。
ふと妙な場所を見つけた。
草の端が肌を引っ掻き、雑草のタネが衣服に取り付くのも構わず草を掻き分けそこへ急いだ。
「なんだこりゃ?」
その場所だけ雑草が全く生えていなかった。
タタミ一畳より少し大きいぐらいの長方形にくっきりと地面が露出している。
しゃがみ込んで地面に触れてみると、赤茶色の土はまるで素焼きレンガの様に固く締まっていた。
辺りを見回すと、少し離れた所にも草が四角く凹んだ場所がある。
その先もまた同じ間隔を空けて凹んでおり、草の生えない長方形が3つ仲良く並んだ格好になっていた。
「変なの」
自分はそのまま草の生えない土地にごろんと横になった。
四方を緑の壁に囲まれ、見上げると四角く切り取られた青空を雲がゆっくり横切って行く草の陰になった素焼きの床は冷たく、汗ばんだ体に心地良かった。
風がそよそよと葉を揺らし、草と土の匂いを運んで来た。
「うぁー気持ちいいや…」
ついウトウトしかけた時、遠くで草を掻き分ける音が聞こえ続いて父の呼ぶ声がした。
「おーぅい」
立ち上がり草の端から頭を出すと、こっちへ向かって来る父とAさんの姿が見えた。
「あ、居った!」2人は歩を速めザクザクと近づいて来る。
「坊ん、こげんトコで遊んだらいけん」
Aさんにそう言われ、父にゲンコツを貰ったが何故怒られたのか良くわからなかった。
再び草を掻き分け帰る途中、Aさんが父に向かって話すのを、背負われた父の肩越しに聞いた。
「稲川さん、どげん訳かこの辺で姿が見えんなった子供を捜すとな、大体ここで寝ちょる。三人並んで寝ちょるの見つけた時は流石に笑えんじゃった」
父が問う。
「ここは何な?」
Aさんが答える。
「ここは昔、焼き場じゃった場所。ありゃな、釜の跡よ。何年経っても草が生えん」
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