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2022-08-01 (Mon) 20:13

【洒落怖】[危険な好奇心] その3 … もうこの家は家では無い。『中年女』からすれば鳥籠のように、俺達の動きが丸見えなんだ

2chオカルト板

688 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/06(土) 03:14:45 ID:BiI+Rh5RO

俺は窓から外を眺めた。
家の前の路地にある電柱に慎がいるはず!と思ったが、慎の姿は無かった。
どこかに隠れているのかと思い、見える範囲で捜したが何処にもいない。
その時、俺の部屋の下にあたる庭先から、『キャ!』と母親の声がした。
びっくりして窓を開け、身を乗り出して下を見た。
そこには母親が、地面を見つめながら口元に手を当てがい、何かを見て驚いていた。

俺は何が起こっているのか分からず、『どーしたの!』と聞いた。
母は俺の声にギクッと反応し、こちらを見上げ、驚いた表情で無言のまま家の外壁を指差した。
俺は良からぬ感じを察したが、母の指差す方向を見た。
そこには何やら、ドロっとした紫色した液体と、ゼリー状の物が付いていた。
先程のドスっの音の正体であろう。
視線を母の足元に落とし、その何かを捜した。

そこには、内蔵が飛び出た大きな牛蛙の死体が落ちていた。
母はしばらく呆然と立ち尽くしていた。
俺はすぐに『中年女』が頭に浮かんだ。
すぐに目で『中年女』の姿を捜したが、何処にも姿は見えなかった。
母はふと思い出したように居間に駆け込み、警察に電話をした。

母は青い顔をしていた。恐らくこの時始めて、『中年女』の異常性を知ったのだろう。
そうだ、あの女は異常なんだ。
きっと今も蛙を投げ込んできた後、俺や母の驚く姿を見てニヤついているはず・・・
きっと近くから俺を見ているはず・・・
鳥肌が立った。

警察早く来てくれ!
心の中で叫んだ。
もうこの家は家では無い。
『中年女』からすれば鳥籠のように、俺達の動きが丸見えなんだ。
常に見られているんだと感じ出した。
しばらくしてパトカーがやってきた。昨日とは違う警官二人だった。
警官一人は、外壁や投げ込んで来たであろう道路を何やら調べ、
もう一人は俺と母に、『何か見なかったか?』『その時の状況は?』などなど、漠然とした事を何度も聞いて来た。

最後に警官が、不安を煽るような事を言って来た。
『たしか、昨日もいやがらせを受けているんですよね?おそらく犯人は、すぐにでも同じような事をしてくる可能性が高いです』と。
俺はたまらず、
『あの呪いの女なんです!コートを着てる40歳ぐらいの女なんです!早く捕まえてください!』
と半泣きになって懇願した。

すると警察官は、
『さっきね、山を見てきたんだよ・・・犬の死体も、板に彫られたお友達の名前も、あと女の子の写真もあったよ。今からそれを調べて、必ず犯人捕まえるから!』
と言い、俺の肩をポンと叩くと、母の元へ行き何やら話していた。
『主人に連絡を・・・』みたいな事を言われていたようだ。
壁に付いた蛙の染み、及びその死体の写真を撮り、1時間程で警官達は帰って行った。

しばらくして父親が帰宅した。まだ5時前だった。昨日の今日だから心配になったのだろう。
夕食の準備をしている母も、夕刊を読んでいる父も無言だったが、どことなくソワソワしているのが分かった。
もちろん俺自身も、次にいつ『中年女』が来るのか不安で仕方なかった。
その日の晩飯は家族皆が無口で、只テレビの音だけが部屋に響いていた。

そして夜11時過ぎ、皆で床に就いた。
用心の為、一階の居間は電気を点けっぱなしにしておくことになった。

その夜も家族揃って同じ部屋で寝た。
もちろんなかなか寝付けなかった。

どれぐらい時間が過ぎただろう。
突然玄関先で、『オラァー!!』とドスの効いた男の声とともに、
『ア゛ー!ア゛ー!』と聞き覚えのある奇声、『中年女』の叫び声が聞こえた。
俺達家族は皆飛び起き、父が慌てて玄関先に向かった。
俺は母にギュッと抱き締められ、二人して寝室にいた。
カチャカチャ・・・ガラガラガラガラ!
父が玄関の鍵を開け、戸を開ける音がした。

戸を開ける音と共に、
『ア゛ー!!チキショー!ア゛ァー!!ア゛ァァァァ!』
再び『中年女』の叫びが聞こえて来た。
『大人しくしろ!』『オラ!暴れるな!』と、男の声もした。
この時、俺は『警官だ!警官に捕まったんだ!』と事態を把握した。

中年女は奇声を上げ続けていた。
俺はガクガク震え、母の腕の中から抜けれなかったが、
父親が戻って来て、
『犯人が捕まったんだ。お前が山で見た人かどうかを確認したいそうだが・・・大丈夫か?』と 尋ねてきた。
もちろん大丈夫ではなかったが、これで本当に全てが終わる。終わらせることが出来る!と自分に言い聞かせ、
『・・・うん』と返事し、階段をゆっくりと降り、玄関先に向かった。

玄関先から、
『オマエーっ!チクショー!オマエまで私を苦しめるのかー!』
と、凄い叫び声が聞こえ、足がすくんだが、
父が俺の肩を抱き、二人の警官に取り押さえられた『中年女』の前に俺は立った。

俺は最初、恐怖の余り、自分の足元しか見れなかったが、
父に肩を軽く叩かれ、ゆっくりと視線を『中年女』に送った。
両肩を二人の警官に固められ、地面に顎を擦りつけながら、『中年女』は俺を睨んでいた。
相当暴れたらしく、髪は乱れ、目は血走り、野犬の様によだれを垂れていた。

『オマエー!オマエー!どこまで私を苦しめるー!』

訳のわからない事を『中年女』は叫び、ジタバタしていた。
それを取り押さえていた警官が、『間違いない?山にいたのはコイツだね?』と聞いてきた。
俺は中年女の迫力に押され、声を出すことが出来ず、無言で頷いた。
警官はすぐに手錠をはめ、『貴様!放火未遂現行犯だ!』と言った。

手錠をはめられた後も、ずっと奇声を発し暴れていたが、警官が二人掛かりでパトカーに連行した。
そして一人だけ警官がこちらに戻って来て、『事情を説明します』と話し出した。

警官『自宅前をパトロールしてると、玄関に人影が見えまして、あの女なんですけど・・・しゃがみ込んで、ライターで火を付けていたんですよ。玄関先に古新聞置いてますよね?』
母『いえ、置いてないですけど・・・?』
警官『じゃあ、これもあの女が用意したんですかねー?』と指差した。
そこには新聞紙の束があった。確かに、うちがとっている新聞社の物では無かった。
警官が『ん?』と何かに気付き、新聞紙の束の中から何かを取り出した。

木の板。
それには『○○○焼死祈願』と、俺のフルネームが彫られていた。
俺は全身に鳥肌が立った。やはり俺の名前を調べ上げていたんだ。
もし警察がパトロールしていなかったら・・・ と、少し気が遠くなった。
母は泣きだし、俺を抱き締めて頭を撫で回してきた。
警官はしばらく黙っていたが、
『実はあの女・・・少し精神的に病んでまして・・・○○町にすんでいるんですけど、結構苦情・・・まぁ、同情の声というのもあるんですがねぇ・・・』
と、中年女の事を語りだした。

『あの女、1年前に交通事故で、主人と息子を亡くしてまして・・・それ以来、情緒不安定と精神分裂症というか・・・まぁ近所との揉め事なども出てきだしましてね。山で発見された少女の写真で、あの女の特定は出来ていたんですよ。二年前の交通事故・・・あの少女が道路に飛び出してきて、ハンドルをきって壁に衝突。それで主人と息子が亡くなったんですよ・・・飛び出した少女は無傷で助かったんですが・・・以来、あの少女の家にも散々嫌がらせをしているんですよ。ただ事故が事故なだけに、少女の家からは被害届けはでてないんですが・・・あの少女を相当怨んでいるんでしょうね・・・』

俺はその話を聞き、同情などは一切出来なかった。
むしろ『中年女』の執念深さがヒシヒシと伝わってきた。
何よりも、警官も認める情緒不安定・精神分裂症。
これでは、すぐに釈放になるのではないか?
釈放後、また『中年女』の存在に怯え生きていかなければならないのか?
警官の話を聞き、安堵感よりも絶望感が心に広がった。

それから5年。
俺、慎、淳は、それぞれ違う高校に進んでいた。
俺達はすっかり会うことも無くなり、それぞれ別の人生を歩んでいた。
もちろん、『中年女』事件は忘れることが出来ずにいたが、恐怖心はかなり薄れていた。

そんな高一の冬休み、ひさしぶりに淳から電話が掛かってきた。
『おう!ひさしぶり!』
そんな挨拶も程ほどに、
『実は単車で事故ってさぁ・・・足と腰骨折って入院してんだよ』
『え?!だっせーな!どこの病院よ?寂しいから見舞いに来いってか?』
『まぁ、それもあるんだけどさぁ・・・お前、『中年女』の事って覚えてる?事件の事じゃなくってさぁ・・・顔、覚えてる?』
『何で?何だよ急に!』
『毎晩、面会時間終わってから・・・変なババァが、俺の事を覗きに来るんだよ・・・ニヤつきながら』

淳の発した言葉を聞いたとたんに、『中年女』の顔を鮮明に思い出した。
始めて出会った、あの夜の歯を食いしばった顔。
下校時に出会った、いやらしいニヤついた顔。
自宅玄関で見た、狂ったような叫び顔。
あれから忘れる努力をしていたが、決して忘れることの出来ないトラウマだった。
俺は淳に、『何言ってんだよ?!もう忘れろ!ほんっとオメーって気が小せぇーなぁ?!』と答えた。

自分自身にも言い聞かせるように。
『そーだよな・・・いや、こーゆーとこって、妙に気が小さくなるんだよ!』
『そーゆーとこ、変わってねーな!』と余裕を見せた。
俺自身も、あの日のまま成長していないが。

そして入院している病院を聞き、『近いうちに●本持って見舞いに行くよ!』と言い電話を切った。
電話を切った瞬間、何故か胸騒ぎがした。
『中年女』
淳の言葉が、妙に気に掛かりだした。

電話を切った後、しばらく考えた。
まさか、今更『中年女』が現れるはずが無い・・・
それにあいつは捕まったはず・・・いや、釈放されたのか??
というか、今思えば俺達三人は、『中年女』に何をしたわけでも無い。
ただ、『中年女』の呪いの儀式を見てしまっただけなのに、こちらの払った代償はあまりにも大きい。
偶然、夜の山で出会い、いきなり襲われた。

俺達は何一つ『中年女』から奪っていない。それどころか、傷付けてもいない。
『中年女』は俺達からハッピーとタッチを奪い、秘密基地を壊し、何より俺達三人に恐怖を植え付けた。
『中年女』がいくら執念深いといっても、さすがにもう俺達に関わってくるとは思えない。
こんなことを思うのも何だが、怨むなら写真の少女にベクトルが向くはず!
俺は強引に、俺自身を納得させた。

2日後、俺はバイトを休み、本屋で●本を3冊買ってから、淳の入院している病院に向かった。
久しぶりに淳に会うというドキドキ感と、淳が電話で言っていた事に対するドキドキ感で、複雑な心境だった。

病院に着いたのは昼過ぎだった。
淳の病室は三階。俺は淳のネームプレートを探し出した。
303号室の六人部屋に淳の名前があった。
一番奥、窓側の向かって左手に淳の姿が見えた。
『よう!淳、久しぶり!』
『おう!まぢひさしぶりやなぁ!』
思ったより全然元気な淳を見て少し安心した。
約束のエロ本を渡すと、淳は新しい玩具を与えられた子供の如く喜んだ。
そして他愛も無い話を色々した。
淳といると、小学生の頃に戻ったようでとても楽しかった。無邪気に笑えた。

あっという間に時間は経ち、面会終了時間が近づいてきた。
『んぢゃ、もうそろそろ帰・・・』と俺が言いかけると、
『実はさぁ、電話でも言ったんだけど』と淳が、真顔で何かを言いかけた。

『中年女の事だろ?』と俺は言った。
すると淳は、
『気のせいだとは思うんだけど・・・いつもこの時間に来るオバさんがいてさぁ・・・何かこう・・・引っ掛かるっつーか・・・』

俺は『だから気のせいだって!ビクビクすんなよ!』と強気な発言をした。
すると淳は少しカチンと来たのか、
『だから、勘違いかもしんねーっつってんぢゃん!ビビりで悪かったな!』
空気が重くなった。
俺は空気を読み、淳に謝ろうとした。

そのとき、
ガラガラガラ・・・
廊下に、台車のタイヤ音が響いた。
淳が『来た・・・』とつぶやく。
俺は視線を部屋の入口に向けた。
ガラガラガラ
台車は扉の前に止まったようだ。

そして、扉が開いた。
そこには、上下紺色の作業着を着たオバさんが居た。
俺は『何だよ!脅かすなよ!ゴミ回収のオバさんじゃねーか』と、少し胸を撫で降ろした。
そのオバさんは、患者個人個人のごみ箱のゴミを回収しだし、最後に淳のベットに近づいてきた。
淳が小声で『見てくれよ!』
俺はそのオバさんの顔をチラッと見た。

『・・・!』
俺は息を飲んだ。
似ている・・・いや、『中年女』なのか?
俺は目が点になり、しばらくその人を眺めていると、
そのオバさんはこちらを向き、ペコリと頭を下げて部屋を出て行った。
淳が『どう?やっぱ違うか?!俺ってビビりすぎ?』と聞いてきた。
俺は『全然ちげーよ!ただの掃除オバさんぢゃん!』と答えた。
いや、しかし似ていた。他人の空似なのか・・・?

『・・・んぢゃ、そろそろ帰るわ!あんま変な事考えてねーで、さっさと退院しろよ!』と俺が言うと淳は、
『そだな・・・あの女が病院にいるわけねーよな。お前が違うって言うの聞いて安心したよ。また来てくれよ!暇だし!』
と元気よく言った。

俺は病室を出ると、足早に階段を駆け降りた。
頭の中から、さっきのオバさんの顔が離れない。
『中年女』の顔は鮮明に覚えている。
しかし、中年女の一番の特徴といえば、イッちゃってる感だ。

さっきのオバさんは穏やかな表情だった。
もし、さっきのオバさんが『中年女』なら、
俺の顔を見た瞬間にでも奇声をあげ、襲い掛かって来てもおかしくない。
そうだ。やっぱり他人の空似なんだ。
と考えつつ、なぜが病院にいるのが怖く、早々に家路についた。

家に帰ってからも『中年女』=『掃除オバさん』の考えは払拭しきれなかった。
やはり気になる・・・
その日は眠りに落ちるまで、その事ばかり考えていた。

次の日、『掃除オバさん』の事が気になり、俺はバイトを早めに切り上げ、病院に行くことにした。
俺のバイト先からチャリで30分。
病院に着いたときには20時を回っていて、面会時間も過ぎていた。
もう、『掃除オバさん』も帰っている事は明白だったが、
臨時入口から病院に入り、とりあえず淳の病室に向かった。

こっそり淳の病室に入ると、淳のベットはカーテンを閉めきってあった。
寝たのか?と思い、そーっとカーテンを開けて、隙間から中を覗いた。
『うわっ!』
淳が慌てて飛び起き、『ビックリさせんなよ!』と言いながら、何かを枕の下に隠した。
淳は●本を熟読していたようだ。

俺は敢えて●本の事には触れずに、『暇だろーと思って来てやったんだよ!』と淳の肩を叩いた。
淳は少し気まずそうに、『おぅ!この時間暇なんだよ!ロビーでも行って茶でもしよか?』と言った。
俺は車椅子をベットの横に持って来て、淳の両脇を抱え、淳を車椅子に乗せてやった。
淳が『ロビー一階だから、ナースに見つからんよーに行かんとな!』と小声で言った。
俺達はコソコソと、まるで泥棒の様に一階ロビーに向かった。
途中、何人かのナースに見つかりそうになる度、気配を消し、物陰に隠れ、やっとの思いでロビーに着いた。

昼間と違いロビーは真っ暗で、明かりといえば自販機と非常灯の明かりしかなく、
淳が『何か暗闇の中をお前とコソコソするの、あの夜を思い出すよなぁ』と言った。
『そだな。何であの時、アイツの事を尾行しちまったんだろーな・・・』と俺が言うと、淳は黙り込んだ。

俺は今日病院に来た理由、すなわち、『掃除オバさん』の事について淳に言おうと思ったが、躊躇していた。
淳はこの先、1ヵ月近く此処に入院するのに、そのような事を言うのは・・・と。
またあの時のように、原因不明のジンマシンが出るかもしれない。

すると淳が、『お前、あのおばさんの事で来たんじゃないのか?』と。
俺はとっさに『え?何が?』ととぼけたが、
淳は『そーなんだろ?やっぱり似てる・・・いや、『中年女』かもしれないんだろ?』と、真顔で詰め寄って来た。
俺はその淳の迫力におされ、『たしかに似てた・・・雰囲気は全然違うけど・・・似てる』
淳はうつむき、『やっぱり。前にも電話で言ったけど・・・』と語り始めた。

淳は少し声のトーンを下げ、
『俺が入院して二日目の夜、足と腰が痛くて痛くてなかなか眠れなかったんだ。寝返りもうてないし、消灯時間だったし、仕方ないから、目つむって寝る努力をしていたんだ。そして少し睡魔が襲ってきて、ウトウトし始めたとき、視線を感じたんだ。見回りの看護婦だろうと思って無視してたんだけど、なんか、ハァ・・・ハァ・・・って息遣いが聞こえてきて、何だろう?隣の患者の寝息かなぁ?って思って、薄目を開けてみたんだよ。そしたら、俺のベットカーテンが3㌢程開いてて、その隙間から誰かが俺を見ていたんだ。その目は明らかに、俺を見てニヤついてる目だったんだ。俺、恐くて恐くて、寝たふりしてたんだけど・・・そして、そのまま寝てたらしく、気付いたら朝だったんだ。後から考えたんだ。あのニヤついた目、どこかで見覚えが・・・そーなんだよ。『掃除オバさん』の目にそっくりだったんだよ!』

ニヤついた目。俺はその目を知っている!
『中年女』に、そのニヤついた目つきで見つめられた事のある俺には、すぐに淳の言う光景が浮かんだ。
更に淳は話を続けた。
『それにあの『掃除オバさん』、ゴミ回収に来た時、ふと見ると、何かやたら目が合うんだ。俺がパッと見ると、俺の事をやたら見ているんだ。半ニヤけで・・・』
それを聞き、俺が抱いていた疑問、『中年女』=『掃除オバさん』は確信に変わった。
やっぱりそうなんだ。社会復帰していたんだ!
缶コーヒーを握る手が少し震えた。決して寒いからでは無い。体が反応しているんだ。
あの恐怖を体が覚えているんだ・・・。

その時、俺の後方から突如、光が照らされた。
『コラ!』
振り向くと、そこには見回りをしている看護婦が立っていた。
『ちょっと淳君!どこにもいないと思ったらこんなとこに!消灯時間過ぎてから、勝手に出歩いちゃダメって言ってるでしょ!それに、お友達も面会時間はとっくに過ぎてるでしょ!』
と、かなり怒っていた。

淳は『はいはい・・・んぢゃ、また近いうちに来てくれよな!』と、看護婦に車椅子を押され病室に戻って行った。
『おぅ!とりあえず、気つけろよ!』と言った。
俺もとりあえず帰るかと思い、入って来た急患用出入口に向かった。

それにしても、夜の病院は気味が悪い。
さっきまであの女の話をしていたからか?と思って歩いていると、
ん?廊下の先に誰かがいる。
あれは・・・
『掃除オバさん』・・・?
いや、『中年女』か?
『中年女』らしき女が何かしている。

間違いない!『中年女』だ!
この先の出入口付近で何かしている!
俺はとっさに身を隠し、『中年女』の様子を伺った。
どうやら俺には気付かず、何かをしているようだ。
中腰の態勢で何かをしている。
俺は目を凝らし、しばらく観察を続けた。

何か大きな袋をゴソゴソし、もう一方に小分けしている?
尚も『中年女』はこちらに気付く様子も無く、必死で何かしている。
ひょっとして、病院内の収拾したゴミの分別をしているのか?
(俺達の地元は、ゴミの分別がルールとなっている)

その時に後ろから、
『ちょっと、まだいたの?私も遊びじゃないんだから、いい加減にして!』と、さっきの看護婦が。
俺はドキッとし、『あ、いや、帰ります!どーも・・・』と言い、出入口に目をやると、
『中年女』はこちらに気付き、ジィーっとこちらを見ていた。

『全く!』
看護婦はそう吐き捨て、再び見回りに行った。
いや、それどころでは無い!『中年女』に見つかってしまった!
どうすればいい?
逃げるべきか?
先程の看護婦に助けを求めるべきか?

俺の頭はグルグル回転し始め、心臓は勢いを増しながら鼓動した。
俺は『中年女』から目を離せずにいると、『中年女』は俺から視線を外し、
何事も無かったように、再びゴミの分別作業をし始めた。
『え!?』
俺は躊躇した。その想定外の行動に。
俺の頭には、
『襲い掛かってくる』
『俺を見続ける』
『俺を見てニヤける』
と、相手が俺に関わる動向を見せると思っていたからである。

俺はしばらく突っ立ったまま、『中年女』を見ていたが、
黙々とゴミの分別をしていて、俺のことなど気にしていないようだった。
『何かの作戦か?』と疑ったが、俺の脳裏にもう一つの思考が浮かんだ。
『中年女』≠『掃除オバさん』?
やはり、似ているだけで別人・・・?!

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